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エッセイ

孫と暮らせば 〜パートタイムおばあちゃん〜

3月末、27歳の娘が第2子を無事出産した。
娘は4歳になる娘を連れ、大きなお腹をかかえてやってきた。
私と夫と愛犬の静かな家に。

予定日にクリニックに行った。
医者は軽〜く「このぶんだと明日とか明後日ってことはないねえ」。
娘もそうだよねえとちょっとあてが外れた顔で帰ってきた。
その日はとにかく寝ることにした。
ところが次の日の朝7時過ぎ、「お母さん、ひょっとするとヘンかも〜」というメールで私は目が覚めた。
「陣痛?間隔は?」
「まだだと思うけどなあ」
「たぶん今日の午後か夕方じゃないの?」
なんてのんびり会話をしていた。ところが急展開、「痛い、もう出そうやわあ」〜、すわ、私と娘と孫娘は私の夫が運転する車(マーチ)でクリニックに向かった。
朝の渋滞に巻き込まれ、車中娘は陣痛がひどくなり、
「出る〜、もうダメ、出る〜」
「いきんじゃあ、ダメだよ、マーチくんって名前になっちゃう、イヤでしょう、マーチ君は〜」(すでにエコーで男の子だということは分かっていた。)
クリニックについた。
はいつくばるように陣痛の合間に移動、よやく分娩台にすっぽんぽんでよじ登らせた。
そしてお見事!
たった15分で無事男の子が誕生、オギャーオギャーとこの世の住人となった。
娘の夫はちょうど海外出張が重なり、急きょ私が出産に立ち会った。
胸をホッとなでおろした。

娘の入院中、私たちは4歳の孫娘の面倒をみることになった。
娘が赤ちゃんを連れて退院してからは、食事の用意買い物、入浴ほかが私の日課に組み込まれ、その合間をぬってカウンセリングを、仕事をした。
気晴らしに映画やコンサートにと、バタバタした毎日が続いた。

「やんわり」過ごそうと思っていたけど、ところが・・・。
4歳の娘の名はみいちゃん、とても大きな(正確には背が高い!)女の子で、とても人懐こくておしゃべり上手。
おまけにみいちゃんはベタベタの大阪人、大阪弁で丁々発止とばかりに突っ込んでくる。
私たちはみいちゃんのご機嫌うるわしくしていただくことに配慮し(笑)、そしてかなり疲れた。

何が疲れたかというと、こんなことがあった。
夫は結構はっきりモノを言うタイプ。
みいちゃんはどうも自分食べたいと思うのか、いろいろお菓子を持ってきて、「じいじ、これ食べる?」「はよ、食べや」「おいしいでえ」・・・、要するに「ああしろこうしろ」って言ってくる。
そのうち、じいじは溜まりかねたように、「ねえねえ、みいちゃん、じいじはね、自分が食べたいものは自分で決めるし、食べたいときに食べるからね、ほうっといてくれる!」とピシャリ。
みいちゃんは彼女なりにそのことを理解し、私たちと目を合わさないように壁にカラダをくっつけるようにしてしょんぼり?ふてくされて?すごすごと部屋をでていった。
まあ、そのちょっと拗ねた感じがまた可愛くって、私たちはニヤニヤ(ちょっとシテヤッタリ感もありか?)案の定次の瞬間、みいちゃんの声「ママあ、またじいじが意地悪するうっ」。
じいじは密かに「ヨッシャ、僕は子どもに負けないぞ」、私は「あ〜あ、みいちゃんからかってどうするの?!」。

みいちゃんはおしゃまで本当にしっかりした立派な女の子、そして大阪のノリがフィットしている。
子どもは確かに可愛い、でも子どもはエネルギーにあふれ、どんどんワガママになり、時として人の境界線を脅かす。
もうそれは限りないほどに、だ。
おそらく、それが子どもというものだ。
だから、私と夫はある意味バリアをはって、ここからは入り込まないで、あなたのお好きにどうぞとその姿勢を徹底しようとした。
娘は「眠れぬ夜」を過ごし、チビちゃんはすくすく育っている。

パパが大阪から迎えにきて三人を大阪に連れ帰ったのが4月連休前。
ヤレヤレ、私たちはじいちゃん&ばあちゃんの役割を終え、ほっと胸をなでおろし。

正直、子どもは「よい出しが出る」可愛い、しかし幼い子どもがいる生活はとても大変だった。
いまさらながら、「私たちにはムリ!限界あるう!」というのが実感だ。
ああ、息子や娘夫婦、そして孫たちとの三世代同居している人たちがいるのかと思うと、それは大変なことだろうなあと今さらながら考えさせられた。

おかげさまで、母子ともに元気、娘は出産のあまりのあっけなさに「この十月十日はなんやったんやろう・・・」とつぶやいていた。