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今まで出会った女性たち・相談例

*ここに書かれているのは、本人の特定ができないようにアレンジしてあります。

さやちゃん --- 家族の問題

そろそろ30歳になるという。華奢な、すこし寂しげな感じのする女性だった。聞けば、大好きだった母親が数年前がんでなくなり、今は父親と二人暮らしだという。とにかく今の父親と二人の生活が暗くて嫌だという。父親と言う人が母親に依存していた人で、常識に欠けるところが多々あり、彼女にしてみれば、いろいろな面で失敗しないか心配だという。たとえば近所でよくトラブルを起こす。すぐにカッとなり喧嘩になるが、理不尽なことも容赦なく言うので、彼女が謝りにいくことがしばしばあるという。彼女には姉が一人いる。すでに結婚して、二駅ほど向こうに幼い子どもと三人でマンション暮らしをしている。母親がいなくなり、ほとんど実家にはよりつかない。子育てで忙しいのだと思うけど、なぜ私だけが父の面倒を見なきゃいけないのかと彼女は不満に思う。姉に怒りをぶつけてもしようがないが、なぜ私だけが・・・と思うとみじめになるという。母親がいたときが懐かしい・・・、と私の前で何度も涙を流した。
ここ数年付き合ってきた男性がいる。しかし、彼は今仕事のため海外での単身生活をしていて、あと数年帰ってこないという。一応、結婚する約束をしていて、彼からの連絡が彼女にとっての唯一の楽しみであり、リラックスできる時間だという。
最近父親がそわそわしていると思ったら、どうも「彼女」ができたらしい。先日家にその女性を連れてきた。とてもうれしそうにしていて、相手の方に悪いが、なんだか自分が恥ずかしい気持ちになったし、許せない感じがしたという。父に「彼女」ができても私には関係ないが、母親のことを考えると、づかづか自宅にやってくるその人の気持ちが理解できない。仕事の合間に母親の洋服ほか荷物を整理しているという。祖母の時代からのものも残っているので、すごく疲れるし、父親はいい気なもんだと腹がたつと訴える。
何回かのカウンセリングの中で、父に対する気持ちを吐きだし、彼女自身、父親に言いたいことは言うようになった。たとえ多少のいさかいが起きても、我慢することはないと思うといった。姉に対しても、もう少し実家にきてほしいということを伝えた。姉も少しは理解してくれたようで、最近、姉と二人で買い物にいったという。ずいぶん楽しい時間だったとうれしそうだった。
彼とは手紙のやりとりでなかなかもどかしいが、日本に帰ったら、すぐにでも結婚することになり、自宅から少し離れたところにマンションを借りることにしたという。少しずつ彼女の気持ちにも落ち着きがでてきた。特に父親へのイライラは少なくなり、「父は父、私は私」とあまり近づかないようにすることでも彼女の気持ちが揺れなくなった。父の彼女のことも、「まあいいかあ」と黙認することができるようになった。それと同時に母親がなくなったことも少しずつ受け入れることができたのだろう。小さな悩みや時々の落ち込みはあったものの、結婚に希望をつなぎ、仕事にも集中できるようになった。
何年かたって、うれしい便りがきた。女の子の誕生を知らせる写真入りの年賀状だった。